村の理念 (村長募集特設サイトより)

全国でほっこり村の村長を募集するに際して、その特設サイト向けに理念ページを書きなおす機会があった。折角書いたので、ここにも転載したいとおもう。


ほっこり村のビジョン

いま、我々の目の前には、未曾有の超高齢社会、1000年に1度の大震災、複雑化した地球環境問題といった数々の解決困難な諸問題が山積しています。ことに、課題先進国と呼ばれる現代日本においては、ライフスタイルや社会構造のパラダイム・シフトが希求されているとかんじます。

新しい時代の、熟した “豊かさ” の構想は、私たち「ほっこり村」の中心的な課題です。「21世紀におけるQuality Of Life (QOL=生活の質) とはなにか?」という問いかけへの応答こそが、私たちの目指す「ほっこり革命」であるのです。


ほっこり革命

現代における豊かさは、論理的あるいは客観的に対象化し得る指標に一元化されています。18世紀後半の産業革命以降、我々はその尺度を共有し、持続的な経済成長を達成し続けてきました。

しかし、人類活動の成長も限界に達し ( ‘The Limits to Growth’, H.Meadows, 1972.)、これまでの豊かさの評価が意味をなさなくなったいま、効率化された現代的時間を再考し、成熟社会 (mature society) に見合った豊かさのモデル、すなわち「ほっこり」を中心とする主観的幸福感の向上を喜びあえる共同体と地域社会を創造しなければなりません。

安全に設計された都市に暮らし、便利なモノに囲まれ、エネルギーを好きなだけ消費することのできる私たちが、なぜ幸福になれないのか。ほっこり村は、縮小時代におけるライフスタイル、共同体、コミュニケーションの新しい形態を生みだすことによって、人類が “ほんとうの豊かさ” を獲得するプロセスに貢献したいとかんがえています。


演劇ワークショップ「鶴見ほっこり村」

私たちは2011年5月から2012年4月まで、神奈川県横浜市鶴見区において「鶴見ほっこり村」という地域共同体を運営してきました。

鶴見ほっこり村とは、地域の異世代・異文化が交流するための演劇ワークショップです。そこには、9歳の子どもから80歳の高齢者、外国人や障がい者、会社員からフリーターまで、多種多様な背景を持った人びとが、演劇を通じてコミュニケーションを楽しむ空間が広がっていました。「趣味」をきっかけに「ひとり」で気軽に参加できる点も特徴です。

そのメニューは、レクリエーションやシアターゲーム、5~6分程度の即興劇の制作など、年齢や国籍を問わず楽しめるよう設計されたものなので、グローバルな超高齢社会の需要に合致する内容であると言えます。

また、ほっこり村の演劇ワークショップには、子どもの社会力養成や、高齢者の心身機能向上といった側面もあり、親子や若い参加者からは「子どもが社交的になった」「人前での発表が楽しくなった」という声が寄せられ、高齢者からは「地域に愛着が湧いた」「日常生活の動作が楽になった」といった感想が寄せられました。


共同体自治の時代へ

ほっこり村が意図しているのは、「共同体による自治」の実現です。「地域の色々な人と顔見知りだから、共同体の重なりあいのなかで暮らしているから、悪いことはできなく」なる。これが、ほっこり村の指向する共同体自治であり、共生社会を創造するための方法です。

ほっこり村のねらいは、特定の地域を活性化することではありません。21世紀に必要な共同体の骨組みをモデル化し、成熟国家に相応しい地域の自律性を完成させることにあります。国家の最大の防御は、地域の社会的関係の複雑な絡まりであり、幾重にも重層化された共同体の強靭さです。

いまこそ、共同体の積層による自治型社会の実現が渇望されています。それは <外部からの統制によるまちづくり> から <内発的な秩序によるまちづくり> への移行であり、地域共同体を「制御対象」ではなく「自律主体」として捉える生態学的転回です。

効率化された中央集権体制から脱却し、それぞれの地域で民主的な意思決定を行う地方自治/共同体自治の体制を整備していかねばなりません。そのためには、ほっこり村のような地域共同体のモデルが求められているのです。

その自治型社会の完成、共同体自治の実現のために、ほっこり村は地域コミュニティ問題に尽力します。

2012-08-24 | Posted in 人文, 社会No Comments » 

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