普通の人が、どうやって怪物や英雄に変貌するか

TED 2008 http://p.tl/fSRT「普通の人が、どうやって怪物や英雄に変貌するか」
 esを見た。スタンフォード監獄実験の結果が非常に興味深く、フィリップ・ジンバルド氏のTEDも観た。断片的だがまとめる。
 冒頭。エッシャーのだまし絵で、ある見方をすれば世界は天使で溢れており、また異なる見方をすれば世界は悪で溢れている。天使と悪を規定するものとは。いかに天使と悪に善良な市民は変貌するのか。
 リンゴがくさる。その原因は、他に腐ったリンゴがある、と考えては発見できない。社会心理学者は、「容器が腐っている」と考える。そして、システム(人間で言う法や経済、政治)が腐っていると考える。
 人を変貌させるためには、状況を変える必要がある。環境を変える必要がある。逆に言えば、状況を変えることだけで、誰もが、悪にも英雄にも、親切にも、冷酷にも、無関心にも、創造的にも、破壊的にも成り得る。
 スタンフォード監獄実験で示されたように、良いリンゴを集めても、悪い状況下に置くと、間違いなく腐ってしまう。
 人類学者のジョン・ワトソンが、兵士の殺人行為や拷問行為について、2つのパターンに分類した。その分類とは、「容姿を変えるか、容姿を変えないか(=匿名化するか否か)」。
 兵士が戦争に行く際に、制服という匿名性を与え、没個人化を図り、容姿を変えた軍隊の12/13(=92%以上)が殺人、拷問、切断を行った。然しその一方で、容姿を変えていない軍隊においては、1/15しか殺人や拷問を行わなかった。これが没個人化の力であり、組織の権力によって人は変貌してしまうことを示した研究成果。
 その変貌は、具体的にいかなる社会的プロセスにより引き起こされるか。つまり、どんな状況下で、兵士は残虐行為を行うのか。
1.考えもなく最初の小さなステップを踏むこと
2.他人の人間性を剥ぎとり自身の没個人化を図る
3.個人の責任を曖昧にし、権限に対して盲目的に服従する
4.グループの基準には無批判に従う
5.怠慢や無関心によって受動的に悪を許容する
 この状況下においては、自身の習慣的反応パターンが働かない。この状況では、個性と道徳が遊離し、悪へと変貌する(英雄へと変貌する)。
 ただ、善悪の境界線は個人のなかに存在し、外部には存在していない。善悪を決定するのは最終的には個人の内部。状況は非常に強力な力を持っているが、善悪の境界線は個人の内部に存在するため、同じ状況下でも、それが個々人間で悪のベクトルへ想像力をかき立てたり、英雄的な想像力を想起させたりする。
 状況は人を変貌させる。状況こそ人を変える。従って、様々な領域でのパラダイムシフトが必要。医学は個体レベルに焦点を置いたが、公衆衛生モデルに向かって変化すべき。いじめも偏見も暴力も病気。それらの病気は、外部の要因に起因する。
 では、前向きな話をすると、英雄とは?英雄とは、驚くべき社会活動ができる一般人。行動力がある。

 英雄になるには何をすべきか。英雄になるには、グループの服従に抗う必要があるため、はみ出し者になることを学ばなければならない。
英雄になるための2つの鍵は、以下。
1.他の人が受け身なとき、あなたは行動しなければならない。
2.あなたは自分中心ではなく社会中心的に行動しなければならない。
「私は待機中の英雄」という自己暗示。人生に一度しか無いかもしれない機会のときに、行動することができる人が英雄。
2011-08-17 | Posted in No Comments » 

関連記事