第109回歯科医師国家試験に合格した話

1月30日・31日に、第109回歯科医師国家試験を受験した。会場は西巣鴨にある大正大学だった。初日は雨だったが、2日目は晴れた。3月18日に合格発表があって無事合格していたので、勉強したことやその方法について書き留めておきたい。歯科国試の対策アプリも作っているし、この1年間、どうしたら国試に受かるかについて少なからず考えてきた。

合格者数は1973人

109回歯科医師国家試験の合格率は新卒で72.9%、既卒で47.4%で、全体では63.6%だった。ただ出願者数を母数にすると合格率は53.2%になるから、事実上合格するのは2人に1人くらいだ。

合格者数は1973人だった。前年より30人合格者が少なかった(2003人→1973人)が、受験者数も30人ほど少なかった(3138人→3103人)ので、合格率はほぼ横ばい(63.8%→63.6%)であった。ただ出願者数は増えている(3695人→3706人)。

今後、厚労省が合格者数を増やすとは考えにくいから、向こう10年くらい2000人以上合格する年はないだろう。改定がある111回には1800人程度まで減らされることも想定されるので、1回でも早く受かった方がよいことは言うまでもない。

合格基準

109回の合格基準は、以下の通りであった。

 一般問題(必修問題を含む)を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、
  (1) 領域A(総    論)   65点以上/109点
  (2) 領域B(各論I~III)  128点以上/184点
  (3) 領域C(各論IV~VI)  122点以上/196点
  (4) 必修問題   56点以上/ 70点
    但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。
  (5) 必要最低点 0領域以下
  (6) 禁忌肢問題選択数   2問以下

領域Aのボーダーが60%を下回って59.6%、領域Bが69.6%、領域Cが62.2%だった。必修の削除は5問。

麻布の自己採点の総評から考えると、厚労省は必修と領域Cで削りにきたことがわかる。逆に領域Aは多少事故っても救われた人が多いんじゃないか。

削除問題について

削除問題は合計で13問。複数正解が1問。そのうち必修削除は5問。

必修では、仮想咬合平面設定の器材がなぜか英語で書かれていた問題(A14)は削除だし、エアタービンの回転数の計算問題(C30)も削除であった。案の定ではある。

一般問題では、「プラークを除去するブラッシング法に加えて、歯肉のマッサージを行う場合に適切なブラッシング法(A54)」は設問文が不明瞭であることから採点除外となっている。確かに日本語が曖昧で、5分くらい悩んでスティルマン改良法を選んだ記憶がある。他にも睡眠時無呼吸症候群の下顎位の問題(B13)とか、試験中に微妙すぎて悩む問題はやっぱり不適切で採点除外になっている。

あとDuchangeの法則でブリッジの抵抗力を求める問題(C130)も削除となった。
Duchangeは引き算だからともかく、一般問題で計算を出すのは時間足りなくなるしちょっとずるい。パッと思いつくだけで、Duchange、タービン回転数、DMF歯率、年齢調整死亡率、OHI-S、C-Factor、あと麻酔で酸素濃度とか出てた気がする。計算問題を1問1分で解くのは厳しい。

110回について

次の110回歯科医師国家試験は、改定前最後の試験である。ここで受からないと、111回で何が起こるかわからない。107回の必要最低点みたいに謎基準が導入されるかもしれないし、あるいは大した改訂は行われないかもしれない。必修問題と一般問題がごちゃ混ぜになり、どれが必修かわからなくなるみたいな噂も聞く。確実に言えるのは、厚労省から見れば改訂は合格者数を減らすチャンスであるということである。

109回では、予備校の出す解答速報でも正答が割れる始末だったので、個人的に110回は易化するんじゃないかと思う。でも合格者数は増えないから、108回のような高得点同士での札束の殴り合いになる。受かった手応えがあっても落ちるということが起こり得る。

でもたぶん、必修は難しいままだと思う。108回では必修が簡単だったため領域のボーダーを跳ね上げたという厚労省の反省もあるだろうから、必修で500人くらいは削りたいんじゃないか。

勉強法について

1年間、僕は国試そのものについて少なからず考えてきた。アプリを作るうえでも、どういった形式で解かせればよいかを考えた。

歯科医師国家試験は難化しているとは言いつつ、まだ受験者のうち3人に2人は確実に受からせてくれる試験ではある。麻布の某有名講師が言っていたけれど、全国の受験者のうち、だいたい偏差値45くらい取れていれば受かる。これは110回でも変わらないはずである。偏差値70を取る必要はまったくない。

そんな試験で確実に合格するための最も重要なポイントは、受験生の多くが知っている問題を落とさないこと、である。大学の先生も予備校講師の間でも、これは共通認識だと思う。

みんなが解けない問題が解けなくても大したダメージにはならないが、みんなが解けるような、例えば正答率80%以上の問題をポロポロ落とすと不合格まっしぐらである。

では、みんなが解ける問題を確実に解けるようにするためには、どのように勉強すればよいのか。

それは「王道の勉強法をする」ことだと思う。全国の受験生の多くがやっている最もスタンダードな勉強法、すなわち実践やAnswerなどの問題集を中心にして、わからないところはNew Textなどの参考書で理解しながら解いていく、という勉強法である。

言ってしまえば、実践やAnswerで全く触れられていないような問題は、本番で半数以上は解けないから、当たれば儲けくらいでいいかもしれない。けれど逆に、実践やAnswerで繰り返し解説されているような設問を本番で落とすと致命傷になる。

国試に通るためには、スタンダードな勉強法を徹底することが大事なのである。たまに一発逆転を狙ってすごいマイナーな参考書と心中するみたいな人がいるけれど、リスキーなのでよほど事情がない限り辞めたほうがいい気がする。「◯月までに〜〜する」みたいな具体的なことは僕が書けるようなことではないのでわからない。

センスで解く系問題

あと、特に必修で多いけど、常識やセンス、その場で考えさせる系の問題も増えている。109回の必修でいえば、「体温が最も高い時刻→15時(C24)」とか「在宅酸素療法患者の治療に際して使用に注意すべき機器→アルコールトーチ(C23)」は直感で解くしかない。あと「臨床検査値の基準範囲内に含まれる基準個体の割合→95%(A5)」は何を聞かれているかをその場で考える系の問題である。

僕の友だちでも、こういう系統の問題を全部こぼしていくセンス✕な人がいる。そういう人はいくら勉強しても来年も必修落ちの可能性が捨てきれないからつらい。対策法はよくわからないが新聞を読むことくらいだろうか。

近年の難化について

歯科医師国家試験は、こんにちの歯科医師過剰問題のあおりを受けて今後も合格者数を絞り続けるだろう。ほんの3年前は2400人近く、70%以上受かっていたというのが今は信じられないくらいだ。10年くらい過去問を遡るだけでも問題の質が全然違う。

そもそも、年に1回しかない試験で、ほぼ全員が国試の勉強しかしていない受験生で、純粋な合格者数が2人に1人というのは、よく考えれば異常である。

すべての受験生は、6年間(多くの場合それ以上の年数)を歯科の勉強に費やし、実習や進級試験・卒業試験を乗り越えて国試までたどり着く。受験資格を得るまでも結構キツい。僕の大学では、24歳でストレートで歯科医師になった人は学年で5人くらいしかいない。

歯科国試は、そのへんのサラリーマンが仕事と両立しながら受けるような試験ではない。国試を諦めたところで歯科以外ではつぶしも聞かないし、「学士(歯学)」なんてどう好意的に見ても何の価値もない。落ちて1年ちゃんとやれば確実に受かるなら良いけれど、統計的に、国家試験に落ちる人はいつまで経っても受からない。そんな試験で合格率60%というのは少しおかしい。

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2016-03-29 | Posted in 歯のことNo Comments » 

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